現地時間9月20日(日)に閉幕した第51回トロント国際映画祭(TIFF)。アカデミー賞の前哨戦とされる同映画祭で今年、スペイン映画『La Bola Negra(原題)』が最高賞にあたる観客賞に輝いた。
スペインの詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカによる未完の戯曲にインスパイアされた本作は、来年の第99回アカデミー賞の国際長編映画賞でスペイン代表作品に選出されている。
本記事では、スペイン映画界の今年の顔ともいえる『La Bola Negra』のあらすじや公開日、監督・キャスト、海外の評価について紹介する。
映画『La Bola Negra』あらすじ
血と狂気に満ちた時代のうねりのなか、欲望と痛み、逃れられない遺産によって3人の男の運命が交錯する。
内戦が近づく1932年、ファシスト軍に徴兵され、敵の捕虜に心を奪われる若者。独裁体制下の1937年、セクシュアリティをめぐる噂によって名門社交クラブを追放される若者。そして2017年、複雑な歴史と奇妙な遺産の謎を追う若きゲイの歴史家――。
歴史の濁流に翻弄されながらも、愛とアイデンティティを求め続けた者たち。その魂が時代を超えて受け継がれていく、美しくも切ない物語だ。
【動画】映画『La Bola Negra』海外版オフィシャル予告編
タイトル『La Bola Negra』の意味
「La Bola Negra(=The Black Ball)」とは、集団への加入を拒む「反対票」や、その結果として集団から拒絶された者を指す言葉。加入を認めない場合に黒い玉を投じる、かつての投票方法に由来する。
北米配給はNetflix!日本公開日は?
『La Bola Negra』の日本公開日は現時点で未定だ。一方、日本では、昨年のアカデミー賞国際長編映画賞スペイン代表作品『シラート』を担当した配給会社トランスフォーマーが、本作の配給を担当することがわかっている。
『La Bola Negra』は、本国スペインで2026年9月25日(金)に公開予定。北米ではNetflixが配給権を獲得しており、11月6日(金)から約4週間にわたって劇場公開された後、12月4日(金)より配信開始となる。
私生活では元パートナー、気鋭監督デュオ「ロス・ハビス」
監督を務めたハビエル・カルボとハビエル・アンブロッシは、スペインでは「ロス・ハビス」(Los Javis)の愛称で知られる人気クリエイターデュオ。公私ともにパートナー(2025年に交際関係を解消)として、さまざまな映画・ドラマを共同制作してきた。
現時点で、日本で鑑賞できるロス・ハビスの作品はない。かつてはNetflixで映画『ホーリー・キャンプ!』(2017)が配信されていたが、現在は配信終了となっている。
ロス・ハビスは、これまでの作品でもミュージカルやドラマ、コメディなど多様なジャンルを巧みに融合した独特な世界観を築いてきた。最新作『La Bola Negra』でも、唯一無二のスタイルが壮大なスケールで存分に発揮されている。
ハリウッドの名優も!若手・ベテランの実力派キャスト
『La Bola Negra』には、スペインの若手を中心に多彩なキャストが集結した。
本作で俳優デビューを飾ったGuitarricadelafuenteは、シンガーソングライターとして人気を集め、トロイ・シヴァンのアルバムに参加するなど国際的にも活躍の場を広げている。本作のためにオリジナル曲「La Nieve」を制作し、演技と音楽の両面で作品を彩っている。
さらに、アカデミー賞主演女優賞を受賞したペネロペ・クルスや、8度のアカデミー賞ノミネート歴を持つ名優グレン・クローズも出演。米『ロサンゼルス・タイムズ』のTIFFインタビューによると、クローズはロス・ハビスが制作した2023年のドラマ『La mesías(原題)』のファンで、自らコラボを申し出たという。
そのほか、クルスと同じくペドロ・アルモドバル作品でもおなじみのロラ・ドゥエニャスや、脚本家・俳優・コメディアンとしてマルチな才能を発揮し、ドラマ『ファンタスマス』(2024)で高い評価を受けたフリオ・トレスも顔をそろえている。
歴代最長に迫る拍手喝采!主要映画祭でも大注目
『La Bola Negra』は、5月の第79回カンヌ国際映画祭を皮切りに、2026年の主要映画祭で上映されている。
オスカーへ向けた重要な第一戦となるカンヌでは、約20分間の熱烈なスタンディングオベーションを受けた(歴代最長は、ギレルモ・デル・トロ監督作『パンズ・ラビリンス』の22分間)。今年は、巨匠ペドロ・アルモドバルやロドリゴ・ソロゴイェンの最新作もコンペティション部門に選出されるなか、『La Bola Negra』は監督賞を受賞し、ひときわ注目を集めた。
そして、オスカーの前哨戦とされる9月の第51回トロント国際映画祭では、最高賞にあたる観客賞を獲得。今年の賞シーズンでの存在感を確かなものにした。
海外の批評家からも、本作に対し「もはや圧倒的の一言」(米『Deadline』)、「圧倒的な映像美と演技が光る」(英『The Guardian』)、「1本の映画の中に4つの物語を魔法のように閉じ込めた傑作」(米『IndieWire』)など、高い評価が寄せられている。
3つの時代を通して、社会が押しつける“普通”の外側で葛藤し、愛を求めて生きた若者たちの姿を描く本作。その物語は、抑圧や社会からの疎外を経験したすべての人々に捧げられている。『La Bola Negra』は今、時代を超えて観る者の心に強く訴えかけている。
『La Bola Negra(原題)』作品情報
■監督:ハビエル・カルボ、ハビエル・アンブロッシ
■脚本:ハビエル・カルボ、ハビエル・アンブロッシ、アルベルト・コネヘロ
■製作:ハビエル・カルボ、ハビエル・アンブロッシ
■キャスト:Guitarricadelafuente、ミゲル・ベルナルデアウ、カルロス・ゴンサレス、ミロ・キフェス、ロラ・ドゥエニャス、フリオ・トレス、ペネロペ・クルス、グレン・クローズ
スペイン/フランス/2026年/155分




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